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日本酒の劣化臭「老香(ひねか)」を抑える酵母に関する国内特許を取得

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日本盛株式会社(本社:兵庫県西宮市、代表取締役社長:森本 太郎)と独立行政法人酒類総合研究所(広島県東広島市、理事長:福田 央)は、保存中に発生する日本酒の劣化臭「老香」を抑える酵母を共同開発し、特許を取得したことをお知らせします。

■特許の概要

・特許番号        :第7101362号

・特許登録日     :2022年7月7日

・発明の名称      :1,2‐ジヒドロキシ-5-(メチルスルフィニル)ペンタン-3-オンの生成能が低い酵母の作出方法

・特許権者        :日本盛株式会社、独立行政法人酒類総合研究所

 

 

■特許取得の内容

〈老香(ひねか)の元になる物質を生成しにくい酵母の新たな育種方法〉

日本酒を長期間もしくは高い温度で置いておくと老香と呼ばれるたくあん様の劣化臭が発生します。この老香が発生しにくい酵母を独立行政法人酒類総合研究所と共同開発しました(2017年にリリース)。

老香の主成分はジメチルトリスルフィド(DMTS)であり、DMTSの元となる物質が1,2‐ジヒドロキシ-5-(メチルスルフィニル)ペンタン-3-オン(DMTS-P1)であることがわかっていました。このDMTS-P1を生成しにくい酵母を育種することで老香の発生を抑制することに成功し、この酵母の育種方法が特許として認められました。

 

■本特許技術で期待されること

①日本酒の品質維持

老香が発生しにくくなることにより、保管中の日本酒の品質が維持され本来の日本酒の美味しさが長く続くことが期待されます。

②海外輸出への応用

海外へ輸出する際、輸送期間が長かったり高温になったりした場合、老香が発生しやすくなります。そこで本特許で育種した酵母を使用することで、老香発生が抑えられた日本酒を海外でも味わうことが可能となります。

③フードロス削減

品質劣化が抑えられるため、おいしく飲める期間が延びると考えられ、最終的にはフードロス削減にも繋がることが期待されます。

 


■本特許技術で取得した酵母を使用した当社の製品

①晩酌、晩酌辛口

飲み飽きしない定番の「晩酌」と、すっきり爽快なのど越しが特長の「晩酌辛口」。

旨みにこだわった、日本盛の看板商品です。

 

②大吟醸 720ml瓶、1.8L瓶

吟醸香を多く生成する酵母を新たに育種することで、「老香」を抑えつつ

香りも高い酒質を可能にしました。

果実のような華やかな吟醸香とすっきり淡麗辛口でありながら、

アルコール16度でしっかりとした味の軸もあるバランスのよい大吟醸酒です。

 

③?酒180mlボトル缶

本特許技術で取得した酵母と、2022年1月25日に特許を取得した「高温で保存される清酒の製造方法及び保存方法」の技術を組み合わせることで、連続加温による品質劣化を抑えた、日本酒の常識を覆す日本酒です。?酒ならではのおいしさを「飲みたい!」と思った時に手軽に楽しめるホット販売専用の日本酒「?酒180mlボトル缶」は2017年10月に発売し、季節限定で毎年販売しています。


<老香生成比較:当特許技術を使用した日本酒と一般的な日本酒の比較>

■今後の展開

美味しい日本酒をご提供するために、老香を発生させにくい酵母を有効活用することで、お客様の満足度向上に努めます。

 

■備考

本特許技術で取得したmde-D1という酵母は、2021年1月より公益財団法人日本醸造協会から「きょうかい酵母®清酒用mde-D1」として販売が開始され、日本中の酒造メーカーが使用可能となっています。

 

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