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甲子園の特別感を自宅でも。常温流通で約8ヶ月間の賞味期限を可能(*1)にした「純米大吟醸 生原酒」、実現の裏側

商品/サービス

日本盛株式会社は、1889年より「日本盛」や純米吟醸「惣花(そうはな)」をはじめ、安全・安心・美味しいにこだわった酒造りを兵庫県西宮の地で続けています。近年は「日本酒本来の無垢で贅沢なおいしさ」を持つ「生原酒」の魅力を最大限伝えるための取り組みも開始。その一環として、常温流通で約8ヶ月の賞味期限を可能(*1)にした「日本盛 純米大吟醸生原酒720ml瓶」を開発し、期間限定で販売しています。

(*1)未開封の状況で製造月より8ヵ月


当社の生酒・生原酒にかかわる取り組みや、それを取り巻く日本酒業界の背景についてご紹介します。


「縮小する日本酒市場に一石を投じたい」新シリーズ立ち上げの経緯

私たち日本盛は、創業以来130年以上にわたり、常に業界のリーディングカンパニーとしての自負を持って事業を進めてきました。丹波杜氏の伝統の技と最新の醸造技術を融合した酒造りをおこなっています。


日本酒市場は、昭和48年(1973年)のピーク時からシュリンクし続け、現在は1/3と規模縮小に歯止めがかからない状況です。しかし、純米酒及び純米吟醸酒については昭和63年から伸長を続けています。最新のレポートの結果でも、平成22酒造年度の8.1万KLから令和2酒造年度は9.8万KLと、出荷数量が約20%増加しています。(国税庁「酒のしおり」令和4年3月酒レポートより)


そこで2019年、私たちは日本酒の需要拡大を目指し、純米酒・純米吟醸酒を含む「特定名称酒カテゴリー」での商品強化を検討。「日本酒本来の無垢で贅沢な美味しさを身近で手軽にお愉しみいただきたい」と考え、本格的な酒質でありながら価格をリーズナブルにすることで「日常をちょっと贅沢にする」純米大吟醸シリーズの開発に取り組む運びとなりました。


生酒・生原酒が8ヶ月常温保存でき、手軽に楽しめるように

この「日本酒本来の無垢で贅沢なおいしさ」として、私たちが生活者に伝えることができるのは、「生酒」と「生原酒」だと考えました。この2つは火入れ(加熱殺菌)をおこなわないため、酵素の働きも止まりません。そのため酒質が変化しやすく(=品質管理が難しい)、冷蔵保管・早期飲み切りが一般的です。

生酒・生原酒ならではの「鮮度あふれる日本酒の豊かな香り」をいつでも手軽に楽しめるようにできないだろうかとの思いから、常温保存可能な独自製法の開発に踏み切りました。


「日本酒ってこんなに美味しかったんだ!」一口目で感じる違いを伝えたい

開発担当者:商品開発室課長 髙野 将彰(こうの まさあき)

 

この「生酒」と「生原酒」は品質管理が難しく、蔵元など限られた場所でしか飲むことができないお酒です。通常、常温で販売されている日本酒は酒の中の酵母や雑菌の殺菌による品質安定を目的に「火入れ」を行っていますが、生酒も生原酒も「火入れ」は行いません。この生酒と生原酒、本当に美味しいんです。日本酒ってこんなに美味しかったんだ!と初めて飲んだ時は驚きました。この美味しさを一人でも多くの人に届けたいと考えたときに、常温流通を可能にしてコンビニやスーパーなどで購入できるようにする。これを解決するしかないと思いました。それを実現するために社内の様々な部署と調整し、下記設備投資を行いました。


●精密ろ過システム

極めて目の細かいフィルターを製造ラインに階層的に配置し、酒中の酵母や雑菌を除去

●精密充填システム

「酵母や菌を濾過した生酒」に雑菌が混入しない様、 容器への充填工程をクリーンルーム化


こうして、常温流通を可能にした業界初となる生原酒をアルミボトル缶にいれた「生原酒ボトル缶」が2015年に誕生。この技術を応用し「日常をちょっと贅沢にする」純米大吟醸シリーズの商品化が2019年に実現し、販売を始めることができました。


吟醸香を高生産するオリジナル酵母の開発

さらにもう一つ。この「日本酒本来の無垢で贅沢なおいしさ」は、一口目にどう感じるかにかかっていると考えています。その一口目に香り高い青りんごのような吟醸香と濃厚な旨味を感じ”美味しい”と体感してもらうため、研究室のメンバーと二人三脚で満足のいくフルーティーさを実現する酵母を開発しました。そして、この日本盛オリジナル酵母を純米大吟醸シリーズの特長とすることとし、シリーズ3品すべてにこの酵母を使用しています。

「かちわり生原酒」が甲子園球場で好評

また2017年より業界初の試みとして、甲子園球場にて、生ビールのようにおんぶサーバーによる「しぼりたて生原酒」の販売を開始。さらに、2019年より「かちわり生原酒」の提供も始めました。これは、1合分のカップに甲子園名物の「かちわり氷」と蔵元直送の生原酒(無濾過)を入れたものです。

生原酒は加水をしていないため、アルコール度数が19~20度と日本酒としては高いのですが、オンザロックにすることで適度にアルコール度数が下がり、口当たりがまろやかになり飲みやすくなります。みずみずしい香りと旨み豊かな生原酒に、溶けにくいかちわり氷の相性は抜群で、徐々に氷が溶け、少しずつ変わる味の変化を楽しめると好評を博しています。

甲子園の特別感を自宅でも。期間限定の「純米大吟醸 生原酒」

この「かちわり生原酒」に使用している生原酒は無濾過のため、要冷蔵でその場で飲み切っていただくことが条件です。日本盛本社工場から車で6分とすぐそこにある甲子園球場だからこそできるというちょっと贅沢な特別感がありました。

この特別感を自宅でも楽しんでもらえたら、という思いから「日常をちょっと贅沢にする」純米大吟醸シリーズに「純米大吟醸 生原酒」を追加し、期間限定で販売することとなりました。

自分たちが本当に美味しくて飲みたいと自信がもてる。そんな商品を造りたいという思いで開発をした商品です。


商品特徴でもある、オリジナル酵母の香り高い吟醸香を活かすためには、無垢で加工度が低い「生酒」や「生原酒」が適しています。今回の商品「純米大吟醸 生原酒」は加熱殺菌(火入れ)だけでなく加水もしていない生原酒ですので、より商品特徴である香りを体感できます。さらに、濃醇で甘口の味わいに仕上げているので、香りだけでなく旨味もしっかり感じてもらえるような設計にしています。この美味しさを一人でも多くの方に体感してもらうために、価格面も企業努力で抑えました。ぜひまずは一口味わっていただきたいと思っています。


火入れ(加熱殺菌)も割水(アルコール度数を調整するための希釈)もおこなっていないため、鮮度溢れるフレッシュな香りと濃醇な味わいです。ストレート以外にも、ロックやソーダ割りなどでも愉しめます。

私たち日本盛は、もっと美味しく、もっと安全なものづくりをおこなうため、更なる研究を続けていきます。


■商品概要

商品名:日本盛 純米大吟醸生原酒720ml瓶

原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)

アルコール度:16度以上17度未満

日本酒度:-7.0

参考小売価格:1,401円(税込)

発売日/発売地域:2023年3月23日(木)~8月末/全国

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